現場で役立つエクセル操作(その3)

 今回も[データ]のメニューからの紹介です。入力規則について説明しましょう。
 
 エクセルに限らず、パソコンが最も威力を発揮するシーンは、一度作ったものを再修正するときです。手書きは、上手に消してから書き直すので非常に面倒ですが、パソコンでは簡単です。特に、計算が連動しているものは、手書きはパソコンにかないません。別の言い方をすると、あまり書き直しがないものならば手書きでもよいわけです。ですから、パソコンを利用する際のポイントは、効率よく再利用されるかどうかであると言えます。

 さて、再利用には、入力箇所がわかりやすくなっていることはもちろん、入力する項目もわかりやすいことが重要です。また、数字を入力するところに文字が入力されないようにしたり、有効な文字数でないと警告が出たりすれば、慣れない方にも親切ですね。

 これを実現するのが入力規則です。

入力制限をしたいセルを選んだ後に[データ]?[入力規則]を選びましょう。たとえば、整数だけしか入力できないようにするなら、入力値を整数にし、データを次の値以上、最小値を1にします。これで数字しか入力できなくなりました。
 これだけではまだ不親切なので、入力時メッセージのタブで入力は整数に限ること、エラーメッセージのタブで整数を入力するよう書いておくとよいでしょう。日本語入力の操作まで指定できますが、これには長所短所がありますので、状況に応じて使ってみてください。

 それでも、まだ完璧ではないとお思いでしょう。
 入力規則で一番よく使われるのは、リストという入力値です。これは、入力したい項目内容が限定されているときに、セルでプルダウンメニューのように項目が選べる機能です。使い方は簡単です。さきほどの入力規則を設定する画面で入力値をリストにし、その下に項目をカンマ区切りで入力するか、あらかじめ選ばせたい項目をそのシートのどこかに一覧で書き出しておき範囲指定します。これだけで選べるセルになります。
(私自身の経験では、カタカナの会社名を入力する場合、入力時に半角カタカナと全角カタカナが混ざり集計時に困るので、この入力規則を使いました。)

 ところが、このリストにも欠点がありまして、リストの一覧を他のシートにするのが難しいのです。できないわけではありません(別のシートに一覧を作った なら、その範囲に名前をつけ、それを参照するかINDIRECT関数を使うかすればできます。)が、少し手間ですね。よくリストによる入力規則がうまくいかないという質問がありますが、たいていは、この他シートからの参照が原因のようです。

 ところで、入力規則だけでは式が入ったセルを間違って消される恐れがありますので、セルの保護を使います。まずは、入力させるセルを選んだ後で[書式]?[セル]をクリック。この中の保護というタブを選び、ロックというところのチェックをはずします。次に[ツール]?[保護]?[シートの保護]を選びましょう。パスワードは入力してもしなくて構いません。OKを押すと、さきほどロック解除したところ以外は、文字入力できなくなっているはずです。

 入力規則とセルの保護で、かなり親切なシートができあがることがお分かりいただけましたか。

 「別にそんなの使わなくてもいいんじゃない?」というご意見もごもっともです。
 ただ、入力規則という操作がエクセルにあることを知っていれば、入力ミスを減らしたいときに利用できます。そして、人からもらったエクセルファイルでうまく入力できないセルがあったならば、この入力規則とセルの保護を疑ってください。
 「うまく入力できない」という質問では、保護がなされていたケース、入力規則が設定されていたケースがほとんどです。どんな機能があるかということを知っておけば、あせらずにすむことは多いものです。